タイ旅行前にタイ王国の歴史と文化を学ぶ。アユタヤの武士、山田長政とは?なぜ植民地にならなかったのか?なぜ第二次世界大戦で戦勝国なのか?タイと日本との外交や文化など。世界史は面白い。
講師はセンター試験で必ず100点を取るという歴史の鬼、トリカゴ放送で御馴染みゆげ先生。池袋の世界史専門塾の経営者。
ゆげさんにタイの歴史を教えてくださいとお願いしたら、このために歴史を勉強してくれたみたいなんですよ!
ええと、正直、タイって世界史の受験にあんまり出てこないので、歴史の受験知識はそんなにいらないので・・・。
わははは。そうなんですね。タイの歴史は受験に出ないんですね(笑)。
ま、出るとこもありますよ。まず、タイ人はもともとタイにいなくて、中国の南のほうにいたんです。それが、南下してきてタイができるんです。だから、タイの人って色が白いんですよね?僕はタイに行ったことがないので分からないんですけど。
うーん・・・。白いかなぁ。
受験ではタイのことを白蛮(はくばん)って書くんです。色が白い理由は、もともと緯度が高いところにいて、南下してまだ何百年しか経ってないからなんです。
タイの首都のバンコクはタイの真ん中にあるんですが、北部のチェンマイの人はちょっと白いですね。でも、バンコクの人は東南アジア特有の褐色っていうんですか?白くはないですね。
暑いしな。
そうなんですか。タイ人は肌が白いから、世界中から白い肌を求めて男達がやってくる。と読んだんですが、それは本当なのかなと思って。
いやー、それで言うと白くないですよ。それやったら日本人のほうが白いです。
ほー、そうなんですね。で、それが13世紀です。モンゴルが暴れた時代、日本で言うと、元寇の時代です。その時に、タイ人が移動して、現在のタイに繋がる国を作ったんです。スコータイ朝とかアユタヤ朝ですね。で、アユタヤ朝の時代には、日本人がいっぱい行くんです。山田長政って聞いたことありますか?
いやー、ないですね。
アユタヤに仕えていた日本人の傭兵隊長なんです。
傭兵ですか!?
当時、日本は傭兵輸出国だったんです。日本刀を東南アジアでバンバン振り回してたんです。
えっ、その時代ですか。すいません、元寇の時って安土桃山時代ですか?
鎌倉時代ですね。傭兵の時代は、戦国時代と江戸時代の話です。1600年の関ヶ原の戦いで、戦国時代が事実上終わるんです。そうなると、武士が失業しちゃうんです。
はいはい、バカボンド読みましたよ!
武士の仕事がなくなるんですが、アユタヤは揉めてて兵隊を募集してたので、日本兵が大量にアユタヤに行くんですよ。
なるほど。拳にかけた我が人生、もう一花咲かせに!
あと、同じ時期に、当時大航海時代で、香辛料がたくさん取れるモルッカ諸島ってあるんですね。
イギリスがコショウが集めてたんですね。
はい。それで、イギリス商人とオランダ商人が戦うんですが、実際は、イギリス商人が雇った日本兵と、オランダ商人が雇った日本兵がやり合ってたんですよ。
なんと!
だから、当時、東南アジアの戦いは日本人ばっかりなんです。それで、一番有名なのが、アユタヤに仕えた山田長政なんです。
へえー、山田長政ってめっちゃ強かったんですね。
名前が歴史に残ってるぐらいですからね。
アユタヤには日本人街もあったんですが、その後は、日本は鎖国しちゃうんです。江戸時代になると海外に出られなくなるので、そこで日本人の活躍は終わっちゃうんです。
鎖国前のお話ですか。
鎖国になったら、その人達は現地に残ってるんですか?
そうですね。だから、タイには日本人の血が残ってると思いますよ。
サムライの血が!
日本が行ったのはタイだけなんですか?
だから、イギリスやオランダもでしょ。
あ、そうか。
イギリスが返還してたインドネシアもですね。当時アユタヤは景気がよかったんです。タイはいっぱいお米が取れるし、お金を持ってるんです。お寺もありますよね。金ピカお寺。経済力があるので、傭兵が雇えるんです。
なるほど。給料よくて、いい求人のところにガンガン行ってたと。
今は東南アジアから日本に出稼ぎに来てますけど、当時は日本が東南アジアに出稼ぎに行ってたんですよ。
手に職がある人がね。それがアユタヤの時代ですか。
以上、タイ王国の歴史と文化の触りでした。下の音声プレイヤーでは試聴音声が14分聞けます。有料版は36分で内容たっぷりです。タイの歴史や文化を学ぶと、意外にも外交上手だと知ることができるでしょう。旅行前に歴史を勉強しておくと見方が変わって面白いですよ。